※たぶん、思い切りネタバレもします。ネタバレ見たくない方は読まないでね!
前置き
少し前から、テレビ大阪で8時~8時15分に「世界名作劇場」を放送しているのを知りました。15分だけですが、平日の朝は毎日です。
この番組が大好きだった私は懐かしく、子ども達と一緒に観る為に録画予約していました。
その時はちょうど「若草物語」をやっていたんですね。勿論名作だし、ベスが病気になったりヒヤヒヤす場面はあるものの、子ども達とほんわか楽しく見ていました。
次に始まったのが「ロミオの青い空」。
全く見たことなくて最初がつらいスタートだったもんだから、当初は最後まで見れるかしらと思っていましたが、これが超名作!
いや知ってる人は知ってるんだろうけど、自分が見ていた頃の「世界名作劇場」がピークだと思い込んでいた私は、この話は全く知らなかったんですよね~!
ドイツ人リザ・テツナーの「黒い兄弟」が原作だそうです。舞台はスイスとイタリア(ミラノ)。
「アルプスの少女ハイジ」「赤毛のアン」「トムソーヤの冒険」このあたりが世界名作劇場のベスト3な私にとって、自分が幼い頃見ていた名作劇場が一番良かったな~なんて思っていたんです。世代もずれていたから「トラップ物語」以降はもう大きくなっていて見ていないし。
ところが!1995年に放送された「ロミオの青い空」がこんな名作だったなんて…。見てしまったら、間違いなく上位に食い込んできた。
なんせ、最初は子どもとテレビ大阪で録画したのを見ていましたが、途中から続きが気になり過ぎて最後まで見てしまいました。
http://cdn.tv-osaka.co.jp/onair/detail/progid=1354853/time=now/より引用
「ロミオの青い空」の魅力と感想
全33話、展開の早さと中身の濃さ
最初から最後まで、停滞する話がほとんどありません。全話通して、本筋とあまり関係ない話は 2話位かな。話が次々展開していくので、まぁ続きが気になる気になる!
主役はロミオという11歳の少年。ロミオと親友になるアルフレドも主役に近い主要キャラです。そしてヒロインが前半と後半に出てくるのも、作品にメリハリがついています。前半がアンジェレッタ、後半がビアンカ。
1話目からダークです。ロミオの家族は食べるにも困るほど貧乏だけど良い家族。優しい父さんと母さんと可愛い弟たち。ところがある日村にやって来た、子どもを労働力として人身売買する死神ルイ二から、ロミオは目をつけられます。ロミオの家族を追い込む為、ルイ二はロミオ家族のトウモロコシ畑を放火。え、放火⁉初っ端からひどすぎませんか…。
2話と3話、ロミオの父さんとロミオは血が繋がっていないことが近所のおばさんの噂話から判明。ちょっとちょっと。しかし救いどころは、お父さんはちゃんと我が子同然にロミオを可愛がっているんですね。
そんなお父さんはトウモロコシ畑の火事からヤギを救い出す為に炎の中に入り、その時の頭のケガが原因で目が見えなくなってしまいます。ロミオは自ら、半年間ミラノで煙突掃除夫として働く契約をして、お金を手に入れお父さんを医者に診てもらいます。
両親は決してロミオを売りたくなんかなかったのに、どうしようもない、あー、つらい。(ノД`)・゜・。
ロミオは、半年したら帰ってこれるからと明るく振る舞うんですねぇ。
でも今まで、ミラノに売られた少年たちは帰ってきたことがないと言う村人たち。おいおい。
まー、そんなわけで3話目までがスイスの村で、それ以降はミラノに向かうんです。
大人も感動できる、子どもと観たいアニメ
同じアニメでも、子どもの頃見た時と大人になってから見た時では、感動する場面も少しずつ違ってきます。
例えば私は「アルプスの少女ハイジ」は幼い頃ハイジに感情移入して泣いていた気がしますが、大人になってから見た時は、今まで周りの人にお世話になってきたクララが、目が見えないペーターのおばあさんに本を読んで喜ばれ、初めて人の役に立って嬉しいと思えた場面に号泣してしまいました。
「赤毛のアン」でも大人になってから見ると、ずっと子どもと縁の無かったマリラが、アンと手を繋いで歩いた時に、心に不思議なものがこみあげて幸せを感じた場面にウッとなって泣けてきました。
大人になってから見るのもいいものだなぁと思います。
子どもと観たいって気持ちは、単純に名作を一緒に共有したいのと、子供時代に自分の中の当たり前とは違う価値観を物語の中で感じてほしい、っていうのがあります。
例えば「ロミオの青い空」では、ロミオがミラノへ行く途中、船が嵐にあって波に飲み込まれるんですよ。船には、煙突掃除夫として売られる予定の少年たちがたくさん乗っていて。で、ロミオは泳げるから、親友のアルフレドを助けるんだけど、その時自分を売り飛ばそうとしているルイ二も助けるんです。
私の子ども達はその場面で、“なんで助けるん~”ってなってるんです。そういう、すぐには理解できない行動って、結構大きくなっても憶えてるんじゃないかって思うんですよね。自分がそうだったから。
ロミオは「迷ったけれど、自分の父さんならきっと助けるだろうと思ったから助けた。父さんは言ってた。本当に強い者は人を殴ったりしない。恨んだりもしない。本当に強いのは、どんな時も人に優しくする勇気を持った者だって。」と言うんです。
その後もルイ二は改心するわけでもなく、最後まで安く少年たちを買って、煙突掃除夫として高く売り飛ばすことを続けるんですが、ほんの少し心が揺れたように見えたっていう所がなかなかリアルだなと思いました。
名シーン、名ゼリフ
・最初の、ロミオと父さんと別れのシーンでの、お父さんのセリフ。
「俺は教育というものを受けたことがない。……。
あの子には自分の力で人生を切り開いてもらいたい。」
「どんな時でも勇気をもて。お前は俺の大切な息子だ。俺はお前を誇りに思う。」
このお父さんの言葉が、のちのち心身ともに成長していくロミオの物語の伏線になっているなぁと思います。
自分自身が情けなくて悔しいお父さんの気持ちが伝わって、泣ける場面ですよ…。これに対して「ちがう、父さんは僕の英雄だ」っていうロミオにも涙です。
・ロミオが初めて煙突掃除をやり遂げて、煙突の上まで登り空を見上げるシーン。ロミオの上に、何も遮るもののない澄み渡った青い空が広がる。そこは大人が誰も来ることの出来ない、煙突掃除の少年たちだけが見られる世界。
ここはジンとした場面の1つですね…。1つの話の中で、つらい中にも何か救いや希望をいれてくれます。
・カセラ教授の煙突掃除をした後、お礼としてロミオに絵本をくれたシーン。ロミオは恥ずかしそうに、自分は字が読めないことを話すが、カセラ教授は「恥ずかしがることはなにもない」と言って、ロミオの名前の字を教えてあげる。
ロミオがミラノに来て初めて、人から親切にされたシーンです。教授はロミオにお金よりも素敵なプレゼントをくれたわけです。いい場面だなぁ。
長くなってきたので、続きはまた今度~。後編に書きます。