こんにちは!ささやまのどかです。
今日の絵本は、絵本の中の絵本!王道です。
「はじめてのおつかい」筒井頼子さく 林明子え
これはわたしが一番好きな絵本です。
子供の頃に読んで今も大好きです。
後ろのページを見ると、1976年に「こどものとも」で発行。ロングロングセラーですねぇ。
林明子さんの絵。リアルで上手いんですよねぇ。上手すぎて、どこか悲哀も感じます。
お話の内容は題名通り、はじめて一人でおつかいに行くお話です。
好きすぎて、話の内容をほぼ書いてしまっています。すみません。
一人の少女が成長する出来事を切り取った作品ですね。
おつかいに行くのは表紙の女の子で、5歳のみいちゃんです。ミッションは牛乳1本を買うこと。
これね~。最初のページでお母さんがみいちゃんに
「赤ちゃんの牛乳がほしいんだけど、ママ、ちょっと忙しいの。一人で買ってこられる?」
って言うんですよ!
私この本の印象が強かったから、大きくなっても
“赤ちゃんのミルクって牛乳なんだな”って思ってたよ!!
姉から大丈夫かって感じで驚かれたじゃないか。
そんなおバカは私だけでしょうか。(T_T) お母さん、赤ちゃんが泣くなら、粉ミルク缶の買物を頼んで下さい…。いや、もう牛乳飲める位の子供なのかな?どう見ても乳児だけどな。…まぁいいや。
みいちゃんは筒井商店(←作家さんと同じ名前)という、ご年配の女性が一人でタバコやパンや日用品を売っている小さなお店に買いに行きます。昭和感あふれる懐かしい雰囲気のお店です。このあたりの絵もみどころですね!
夫は車の絵が懐かしいと言っていました。私は気がつきませんでしたが、人それぞれ見るところが違いますね。
この絵本の良さはやっぱり、はじめて一人でおつかいに行くドキドキ感と、ノスタルジックさを味わえるところでしょうか。
つい自分の思い出にふけったりします。
みいちゃんはお店に行く途中、坂道でこけて200円落としてしまいます。
でも彼女は、痛みをこらえて探してちゃんお金を見つけます。
ネガティブな私は、自分の失敗体験を思い出します。
近所のお店で家族分のアイスを買ったのに、途中で袋を落としてアイスも転がり、どぶ川に落ちてどんぶらこっこと流れていきました。
どうすることもできず、ただ流れて行くアイスが小さくなっていくのを眺めていた幼い頃の私…。
あれ?この絵本の良さを伝えるはずが、すぐネガティブな方向に流れていくな…。いけない、いけない。
まあでも実際、絵本の中でもみいちゃんは一人で奮闘するわけです。
暴走自転車に出会ったり、こけてケガしてお金落としたり、お店についたのにお店の人がいなかったり。
「ぎゅうにゅうください」って言ったけど小さい声しか出なくて、ガラの悪いおっちゃんや、図々しいいおばちゃんに順番抜かしされます。
一人で出かけたら、子供だからって皆が優しいわけじゃないって現実を知るんですねぇ。
そこでみいちゃん、勇気を振り絞って自分でも驚くほどの声を出します。
「ぎゅうにゅう、くださあい!」
絵本の中でも一瞬の静寂が流れる、クライマックスですねぇ。
お店の人はやっとみいちゃんに気が付いて、みいちゃんにごめんねって何度も謝って牛乳を売ってくれるんですね。
やっと優しい大人の登場です。
みいちゃんの手の中であったかくなったお金をわたす場面とか、リアルでいいんですよね…。緊張がとけたのが伝わってきます。交換した牛乳の冷たさも自然と伝わってきますねぇ。
もう本当、最後まで王道というか。最後はちゃんと坂の下まで、赤ちゃんを抱っこしたお母さんが迎えに来てくれてて。裏表紙ではちゃんとケガもお手当されていて、良かったなぁって思えます。
絵本はじっくり見るものなんですねぇ。
文章では書かれていないけど、お店にいる黒猫の行動や、掲示板の文章も楽しい。
絵画教室の生徒募集の張り紙に
せんせいは はやしあきこ
って書いてあったり、(かよってみたーい!)
ネコがいなくなって探していますって張り紙の絵のネコが、最初の方のページで屋根の上を歩いていたり。
結構遊び心も満載。
ずーっとずっと、残っていてほしい絵本の一つです。